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コミュニケーション能力は必要?

よく、巷でSEに重要なのはコミュニケーション能力だと言うのが目立ちます。

以前私が参加したスキルアップ講習会でも、技術があってもコミュニケーション能力がなきゃ駄目だと、あたかも技術よりもコミュニケーション能力のほうがずっと重要だという言い方をしていました。

しかし、コミュニケーション能力はあるが、技術力のないプログラマーやSEは役に立つのでしょうか。立ちません。その人は、プログラマやSEではなく、営業やマネージャーになるべきでしょう。マネージメントと言っても、直接技術にはタッチしない、人や金を動かすだけのマネージメントです。プロジェクトマネージメントをするのであれば技術力は必要です。要は、どの部分を担当するか、あるいはさせられるかで変わってきます。与えられたポジションが、マネージメント力をさほど要求されないのであれば、別にコミュニケーション能力に秀でていなくても十分高収入を得ることは可能です。またそういう人間は社会では必要なのです。

コミュニケーション能力がなくても、技術力があれば十分プログラマーやSEとしてやっていけます。周りにサポートする、間を埋めてくれる人がいればよいのです。もちろん、すぐに周りとトラブルを起こすような人は論外です。

コミュニケーション能力が必要になるのは、リーダーとなって部下をまとめたり、客と交渉したりするときです。コミュニケーション能力は、マネージメント力の一つです。スケジューリング、リーダーシップ、段取り、交渉、進捗管理、要員管理等です。

プロジェクトのリーダーとなれば、人との関わりも多くなります。お客さんと接するとき、客の信頼を得て、また客を味方につけるようにしなければなりません。また自社にとって有利になるように交渉を進めるのもコミュニケーション能力として必要です。何でもかんでも安請け合いで、自分のチームの首を絞めるのもよくないですし、かといって何でも拒絶して客の心証を悪くするのも問題です。また、客をうまく丸め込んでごまかす、というのは営業の人間が得意とするところかもしれませんが、ただ小さなことを大げさに捉えるような客に対しては誤解されないような話し方をしなければなりません。

我がままな客の言うことを聞くのはつらいものです。ドキュメントを提示し、仕様を確定したつもりでも、後になってから平気であれが足りなかったといってきます。こっちがもう修正はきかないと言っても、それでは業務が成り立たない、どうしてもやってくれと押し通してきます。断るべきところは断るべきですが、それをやると、多分、自分の上司に話しが行って、「別の人を出してくれ」ということになって、プロジェクトから外されることになるかもしれません。その場では判断を保留して、上司に交渉してもらうのもいいですが、頼りない上司なら自分よりも、ハイハイ客の言うことを聞いて、そのツケは自分に押し付けられることになります。そのくせ、上司は俺が行って交渉してきたからなと苦労を買って出たような言い方をするのです。そして後はよろしくな、とバトンタッチされて、結局自分が苦労を背負い込む羽目になるのです。

その修正が致命的な場合、スケジュールの遅れと追加工数を要求することが必要です。また、応答手段としては、次フェーズにまわすと言うものです。もしスケジュールを変えられないなら、優先順位を変えて、不要な機能を削るか後回しにします。すでに作成したとしてもです。というのは、テストやデバッグ作業で工数がかかるので、業務上重要ではない機能は削除してしまったほうがいいのです。

また部下をまとめるというのも、リーダーとなったときの大きな仕事の一つです。伝えるべきことをしっかり伝え、適切にタスクを割り振り、期限をしっかりと守らせる必要があります。また士気を高めるようにしたりしてメンタルな面についても配慮する必要があります。仕事でやっているとはいえ、生身の人間なので、ちょっとした心遣いで、仕事の効率は大きく違ってくるものです。そのためによい関係を築き上げていくのは重要なことです。人間関係が問題になると、意識的に、あるいは無意識的に足を引っ張るようになるということはよくあることです。

部下に対して自分のやり方を押し付けるリーダーは最低です。もし部下が有能で、いろいろなアイデアを持っていたとしても、それを押し殺し、また問題点を挙げてきたとして無視してしまうのです。これでは部下のやる気は失われていくでしょう。そうした場合に指示した上司が責任を取ればいいのですが、自分で指示しておきながら部下に責任を押し付ける最低の上司もいます。概して頭の固い上司は、事実を基にして判断するのではなく、「普通は」「それは常識だ」という思考になりがちです。

以前勤めていた会社で、上司と別のプロジェクトの先輩がいましたが、上司に何を聞いても、「それは当然」「そんなの常識」という言葉が返ってくるのに対し、もう一人の先輩に質問すると、「それは通常こうするけど、それはケースバイケースで、こういう場合はこうするし」という感じで常識と事実という二つの点から語ってくれるのです。どちらが信頼できるかはいうまでもないでしょう。

また、必要なことは正確に伝える必要があります。そうでないと、上司の意図と部下の受け取り方が異なり、上司の意図通りの成果を部下は上げてきません。そうしたときにどっちに責任があるのかという問題になってきます。意思の疎通は重要です。

また、物事は予定通りいくとは限りません。逆に行かないことの方が多いものです。そういうときに、どのように切り抜けるかが、マネージャーの腕の見せ所となるでしょう。

コミュニケーション能力というのは、技術力と違い、なかなか形になりにくいものがあります。技術力であれば、知識を取り入れ、適用し、使いこなせるようになればOKなので、技術力については見通しが立ちますが、コミュニケーション能力を高めるというのは同じようにはいきません。






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Copyright Dayan All rights reserved. Last Update: 2004.08.31